トづくり

Column on Koto-zukuri

2025.02.03

コトづくり

【2025年最新】初心者必読!「電気CAD」とは?作業効率を高める「3D電気CAD」について解説

私たちの身近にある「製品」の数々。それらを製造するには、必ず図面が必要です。

「正確な図面を速く・作業効率よく仕上げていきたいけど、人的リソースが足りない」、「特に電気設計といった専門CADとなると、どのCADが自社に合うのかわからない」、といった企業様も少なくありません。

そこで本記事では、上記のような悩みを持つ企業ご担当者様をはじめ、業界に入って間もないご担当者様・初心者様におすすめの「3D電気CAD」の活用メリットについてご紹介します。

「CAD」と「電気CAD」の違いとは?

「CAD(キャド)」とは、「Computer Aided Design」の略で「コンピューター支援による設計」という意味で用いられ、コンピューターの特性を生かす設計・製図技法のことを言います。今日では、「CAD」というと「設計・製図ソフト」というニュアンスのほうが強くなっています。

CADは、電気・機械・建築などあらゆる分野で対応できるドローツールといえる「汎用CAD」と、各業種の作業効率化のために開発された「専門CAD」の2つに大別できます。

そして、「電気CAD」とは単線結線図・シーケンス図・電子回路設計図など、電気用シンボルを使用する電気設計に特化した専用のCADのことを指し、別名「ECAD(イーキャド)」とも呼ばれています。

CADの概念図

電気CADとは? 

これまでの国内製造業では機械設計主導となっており、その結果、機械設計用CADMCAD(エムキャド)」が業界を牽引して、電気CADの広まりはごく限られていました。

そして電気設計部門では、MCADでの製図やドローツールである汎用CADで製図をせざるを得ない状況となっており、データとしての情報を持たない汎用CADでの製図は、作業効率の低下や仕様変更時のヒューマンエラーが発生しやすいといった課題を抱えていました。

そのため、図面にデータをもたせ、部品表とリンクさせることでデータ情報の整合性を保ちながら効率的かつスムーズな作業環境が整う「電気CAD」の導入が普及するようになりました。
電気CADには、製図の対象となる商材(電子機器・制御機器等)によって、CADソフトも細分化することができ、その専門性の奥深さがあります。

ウェブサイトによって、「電気設計用CAD」、「電気設備CAD」、「電気制御CAD」など、呼び方はさまざまですが、本記事で「電気CAD」を以下のように定義づけ、主に電気設備用の電気CADについて紹介していきます。

本記事における「電気CAD」の定義づけ

電気CADのメリットとは

電気設備業界で以前まで主流だった「汎用CAD」と、現在主流になりつつある「電気CAD
電気CADなら、汎用CADにあったデメリットは解消され、設計者の作業負荷を減らし、作業効率を大幅に向上することができます。ここでは電気CADのメリットについてご紹介します。

これまでの汎用CADのデメリット

  1 仕様変更によるヒューマンエラー発生率の上昇
回路図では多くの配線や機器が使用されており、それぞれには線番や記号が用いられています。
製品に仕様変更が発生した場合、回路図の線番や記号の変更、表計算ソフトなどで別途作成した部品表の変更などをする必要があるのですが、これらの修正を忘れてしまうヒューマンエラーが発生しやすくなります。

2 生産段階でのトラブル発生の懸念
弊社の製品でいう制御盤では、「筐体の奥行などがつかめず、実物の組立の際に配置部品間で干渉してしまう」、「現物合わせで線長を決定するため、使用機器がそろっていないと、生産がストップしてしまう」といった問題が発生することがあります。

3 品質に数値的な裏付けがない 
2Dの場合、図面で表現できない部分は注記で表現する必要があり、数値的な裏付けはなく、同じ図面でも同じ製品を作ることができないといった事案が発生することがあります。

電気CADのメリット

  1 ライブラリデータの活用
各CADメーカーでは、部品データのライブラリを持っており、設計者は使用する部品データを即時に引き出し、製図に反映することができます
これにより、設計の大幅な時間短縮と効率化が期待できます。また部品だけでなく、回路図をテンプレートとして登録し、ワンクリックで図面を呼び起こすことも可能です。

  2  図面データの一元管理が可能
各CADメーカーのクラウド上データベースで図面データを保存。「1つ」のオリジナルデータを関係者全員で共有し、常に最新の図面データを共有することができます。

  3  3D電気CADなら、CAD上でシミュレーションが可能
CAD上で、機械設計データ(3D立体モデル)と電気設計データ(回路図)のデータを連携し、画面上でシミュレーションを行うことができます
これにより、平面上の距離だけでなく奥行も測定可能となります。また、設計段階で正確な線長を決定でき、制御盤の組み立て前にハーネス製造を進めることができます。その結果、全体のリードタイムが短縮され、製造時のトラブル回避にもつながります。

機械設計データ(右)と電気設計データ(左下)をすり合わせたシミュレーション

3D電気CADによる電気設計が加速する時代へ
作業効率を上げる!3D電気CADのおすすめ

電気CADには様々なメリットがありますが、現在では特に「3D電気CAD」の普及が加速しています。

3D電気CAD」は、豊富な電気専門のデータベースと紐づけるだけではなく、CAD上での3Dシミュレーションが可能となることで完成品のイメージが掴みやすくなることが最大のポイント

設計・製造上での業務負荷を減らし、作業効率を大幅に向上させられることもあり、今後さらなる普及が期待されているのです。

しかし、3D電気CADの種類はさまざま。自社にマッチする最適なCAD選定のためには、CADの特長を押さえる必要があります。
ここでは、製図の作業効率をあげるおすすめの3D電気CADを紹介します。


EPLAN
欧州・北米を中心に世界で高いシェアを占めているCADメーカー
電気設計に必要なあらゆる機能が標準的に搭載されていて、使用する部品データは、専用ライブラリで豊富に提供されており、高品質かつ統一された基準のアイテムをスムーズに活用することができます。

ポイント
・全世界で6万8,000社以上の実績(2024年6月現在)
・独自プラットフォームでデータを一元管理
・電気設計データと連携した3D環境で、機器の配置と仮想配線(デジタルツイン)が可能

SOLIDWORKS® Electrical Professional
「SOLIDWORKS®」の中でも、「SOLIDORKS® Electrical Professional」は、機械設計データとの親和性が高い3D電気CADソフト
2次元電気回路図作成と電気設備3次元モデル作成が可能で、電気・機械双方の設計情報を活用した、協調設計を実現することができます。

ポイント
・機械設計用3D CADとしては、数十万の企業による導入実績
・2D回路図と3D機械設計図はリアルタイムでリンクし、一貫性を維持
・電気設備設計と機械設計の適合性の検証の簡素化が可能

3D電気CADに精通するエキスパートサービスの活用もおすすめ

3Dシミュレーションが魅力的な「3D電気CAD」について、一部ご紹介しました。

導入を検討する場合、導入目的とめざす効果を最大限に高めるCADソフトを選定したいものです。しかし、各社のCADソフトをリサーチしたり、選定したCADソフト自体を使いこなせるようにスキルアップしたり、めざす成果を上げるためには、それなりの時間と人的リソースを注がなければなりません。

最も効果的なソフトを選定したい・可能な限り短期間で成果を出したい・人的リソースを確保したい…。そんなときは、3D電気CADに精通する以下のサービスを利用することもおすすめです。


制御盤DXアシスト
「EPLAN」や「SOLID WORKS® Electrical Professional」といった電気CADソフトを、生産を見据えて効果的に運用するエキスパートが対応するサービス
です。
電気CAD導入目的・求める効果と電気CADの特長とメリットを照合した「電気CAD選定」、3D電気CAD導入トレーニングや部品データベース構築など「電気CAD導入支援」、試作や検証など効果的な生産のための「コンサルティング」などを提供しています。
制御盤メーカー様に限らず、工作機械、電気・電子機器、FA機器、半導体製造装置など、さまざまな製造業メーカー様への支援実績があります。

ポイント
・3D電気CADの導入から検証までワンストップでご対応が可能
・さまざまな電気CADの知識と豊富な実務経験をもつエキスパートが対応
・ヒアリング、現状調査、企画書作成まで無料ご提案

まとめ 3D電気CADでの作業効率アップには、自社に最適のCAD選定を!

いかがでしたか?本記事では、CADそのものの説明から、電気CADのメリット、おすすめ3D電気CADソフト、おすすめサービスをご紹介しました。

3D電気CADを導入することで、設計の精度や作業効率を大幅に向上させることが可能です。そして、数多くのCADソフトが存在する中で、自社のニーズに最適なものを選定することが成功のカギとなります。
弊社サービスである「制御盤DXアシスト」なら、ヒアリング・現状調査・企画書作成まで、まずは無料でご対応させていただくことが可能です。

制御盤に限らず、3D電気CADでお困りごとのある際は、ぜひ一度お問い合わせください!


監修・青木 誠
約20年にわたりCAD関連業務に従事する電気CAD黎明期を知るエキスパート。豊富な経験を活かし、ユーザー目線でのCAD導入支援や教育、コンサルティングを行う。約10社のCADメーカーのコネクションを持ち、メーカー主催のユーザーミーティングに登壇する実績を持つ。そのほか営業・資材調達・検査など豊富な経験は多岐にわたる。


参考文献・参考サイト
しくみ図解シリーズ 『CADが一番わかる本』(技術評論社)
EPLAN製品パンフレット
EPLAN公式ブログ
SOLIDWORKS®公式サイト
CADJapan.com

Contact us

お問い合わせ